京扇子の話いろいろ
京扇子にまつわる話をいろいろと書いてみたいと思います。
【扱い方】
- 新しい扇子は、折り目が慣れてくるまで、ていねいに開け閉めしてください。
- 開ける時は、真横に引っ張って開けないでください。
- 地紙は特に温度や湿度に敏感なため、長期間しまっておく場合は、付属の紙の帯び(セメ)をしてください。
【いい扇子の見分け方】
- 持ったときに重みを感じる。
(特に竹の密度が高い) - 閉じたときにピチッと閉じ、その状態が長い期間続く。
こうなるためには、
竹の材質が良く、扇面の加工が上手なこと、折りがきっちりなされていること、ため(親骨が内側に曲げてある)を含め、仕上げがうまくなされていること。
以上のことが必要です。
【 伝統的工芸品 】
京扇子は、昭和52年10月14日に通商産業(現経済産業)大臣より伝統的工芸品の 振興に関する法律に基づき指定されました。
伝統的工芸品の要件
- 主として日常生活で使われるもの
- 製造過程の主要部分が手作り
- 伝統的技術または技法によって製造
- 伝統的に使用されてきた原材料
- 一定地域で産地を形成
現在、伝統的工芸品は西陣織や京焼・清水焼をはじめ全国に206品目あります。
【 扇子にまつわる名勝 】
扇 塚(五条大橋)
五条大橋の西にあった新善光寺の僧が 作った扇は御影堂扇(みえいどうせん)と呼ばれ、近世にいたるまで京土産として知られ、このあたりは古くから扇工が集まり、扇の名産地として知られていました。
五条大橋も新しくなり、このあたりも すっかり変わってしまって、そのことを知る人が少なくなったことを憂えて、扇子業者有志によって昭和39年に 建てられました。
扇 塚(誓願寺)
誓願寺は若者で賑わう繁華街である新京極の中に位置し、山門を入ってすぐ 右に扇塚があります。
白拍子(しらびょうし)らが舞の上達を願って扇を奉納したのが始まりとされ、芸事上達の願いが奉納された扇子に納 められています。
また、誓願寺第五十五世住職「策伝上人(さくでんしょうにん)」は戦国時代の僧侶で、落語の祖と称されています。
【扇子にまつわる歳事】
- 葵祭
- 5月15日
五穀の実りを祈願する平安時代から続く日本三大祭の一つ。
十二単をまとった祭のヒロインの斎王代は、重々しく美しい檜扇を 手に藤の花で飾られた御所車に乗り、御所から下鴨神社から上賀茂 神社へと牛車、馬、内侍、女人などの行列に囲まれ進みます。 - 三船祭
- 5月第3日曜日
車折(くるまざき)神社の祭礼で、平安京の船遊が嵐山大堰川で 再現されます。 この中で行われる扇流しは、足利尊氏が嵐山近くの 天龍寺へ参詣の折に、お供の童子が誤って川に落とした扇子の川を 流れる優美な様をご覧になって喜ばれたことから、それ以後、天龍 寺参詣の際、お供の人々が競って扇を川に流したといわれており、 これにちなんでいます。
典拠:京都扇子団扇商工協同組合 - 事始
- 12月13日
祇園の舞妓さんは日本舞踊の家元に一年の挨拶に行き、そこで家元から新しい 舞扇が手渡され、一年の芸事の上達を誓います。
【扇子の各部の名称】
- 親骨と中骨を合わせて、扇骨(せんこつ)といいます。
- 間数(けんすう)とは、親骨・中骨合わせた扇骨の数のことです。
- 短地(たんち)とは、通常の扇子より扇面が短いもののことをいいます。
【京扇子の種類】
- 薄板を綴ったもの
-
●白檀扇(びゃくだんせん)
香木で作った扇で、透かし彫りや描き絵で装飾します
招涼・装飾用
●檜扇(ひおうぎ)
檜の薄板を絹糸で綴じ合わせたもの
儀式・装飾用 - 紙を貼ったもの
-
●夏扇(なつせん)
一般的には男持ち七寸五分(約23cm)、女持ち六寸五分(約20cm)
招涼・装飾用 -
●茶扇(ちゃせん)
一般的には男持ち六寸(約18cm)、女持ち五寸(約15cm)
茶道用・装飾用
●舞扇(まいおうぎ)
紋が入ったもの、紋がないもの舞の曲目にあわせたものなどがある
舞踊用・装飾用
●祝儀扇(しゅうぎせん)
婚礼などに使われる
冠婚葬祭用
●能扇(のうおうぎ)
流儀によって種類が違う
能・狂言用・装飾用
●蝙蝠扇(かわほりせん)
檜扇に次いで平安時代に作られた紙扇で、最初は骨の数が5本ぐらいであった
装飾用
●豆扇(まめせん)
人形に合わせた大きさのものが使われる
人形用・装飾用
●有職扇(ゆうそくせん)
宮中や神社・仏閣で用いられる特殊な扇子
招涼・装飾用 - 絹・綿布を貼ったもの
-
●絹扇(きぬせん)
ヨーロッパから逆輸入され、作りだされた
招涼・装飾用