京扇子ができるまで
扇子の製造は、扇骨加工、地紙加工、仕上げに大別され、 さらに20余りの工程に分かれ、 分業形態をとっており、いずれも熟練した職人の手仕事です。
扇骨加工(竹の部分)
胴切
竹の節を除いて扇子の長さに応じた寸法に切ります。
割竹
鉈(なた)で縦に細かく割ります。
せん引
竹の内側の白い実の部分と表皮を除いた外側の部分「カワ」に分け、 カワの部分を使用します。
目もみ
要(かなめ)を通す穴をずれないようにあけます。
あてつけ
要の穴に長い串を通して、何百枚もまとめ、板のようにします。 その扇骨の側面をノミと包丁で削り、それぞれの扇骨の形に仕上げていきます。
白干し
屋外で日光に当て、乾燥させます。
磨き
乾燥させた扇骨をなめらかに磨きます。
塗り・染め
白竹のまま使用することもありますが、ハケを使って塗ったり、 釜でゆでて染料を入れたりし、色をつけます。
末削(すえすき)
中骨の地紙に差し込む部分を細く、薄く削ります。 先端へ行くほど細く、薄くなっています。
要打ち
親骨に中骨を挟み、目もみであけられた穴に要を差し込み、とめます。 昔はクジラのヒゲを要に用いていました。 「要」は扇子をとめている重要な部分です。肝心要の「要」はここから きています。
この後は地紙といっしょに「ツケ」の職人へ回されます。
地紙加工(和紙の部分)
合わせ
2層に分かれる芯紙といわれる極めて薄い和紙を中心にして、皮紙といわれる 和紙を両側に貼り合わせます。
乾燥
合わされた地紙を乾燥させます。
裁断
地紙を何枚かにまとめ、扇形に裁断します。
色引き
刷毛で地紙に色をつけます。
箔押し
糊を引き、金や銀の箔を貼っていきます。
上絵
一枚ずつの手描き、型刷り、木版、印刷などにより、加飾します。
折加工
分厚い折りぐせのついた2枚の型紙で、地紙をはさみ、手早く、 均一に折りたたみ、折り目をつけます。
中差し
芯紙が二つに分かれるので中骨を差し込むための空間を竹べらであけます。
万切
折ぐせのついた地紙を折りたたんだまま、裁断用の枠にまとめて入れ、 万切包丁で扇子の大きさに切りそろえます。
この後は扇骨といっしょに「ツケ」の職人へ回されます。
仕上げ(ツケ)
地吹き
中差しであけられた穴に息を吹き込み、中骨を差し込みやすいように穴を 広げます。
中附け
中骨を切りそろえ、糊を塗り、地紙の穴へ差し込んでいきます。 糊が乾燥しないうちに、中骨が真中にくるように位置を決めます。
こなし
糊によってふくらんだ地紙をたたんだ状態で側面から拍子木でたたきます。
万力掛け
厚手の地紙の扇子は、板で地紙部分をはさみ、重しをかけます。
矯め(ため)
親骨を火であたため、上の部分がしっかりと閉じるように内側に曲げます。
先づめ
曲げた親骨の先端の余分な部分を切り落とします。
親あて
親骨に糊をつけて地紙と接着し、セメと呼ばれる帯で固定します。